4月10日(月)、朝に張り出されたクラス発表の掲示を見て、盛り上がる生徒の姿が見受けられました。朝から新任の校長先生をお迎えする着任式、この春に異動された先生方へ感謝とお別れを伝える転退任式、新たに井原高校に赴任された先生方をお迎えする新任式、そして、始業式がありました。
〈令和5年度第一学期始業式〉
【校長式辞】
今日、皆さんの令和5年度の高校生活が始まりました。
私は、縁あって井原高校に赴任しました。これから皆さんと力を合わせ、井原高校を素晴らしい学校にしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
さて、皆さんは、今年度の目標をもって、今日登校したでしょうか。
私は、4月1日付けで本校に赴任し、市役所や地元企業、本校同窓会会長、近隣中学校など地域の方々に挨拶をして回りました。そこで、地域の方々の本校への期待と注目度の高さを感じることができました。そのような、地域の方々の思いに接することができ、この井原高校をどのような学校にするか目標を立てました。
第一の目標は、「失敗をしても、挑戦し続け、成長するための場」とするということです。
相対性理論を打ち立てた物理学者のアインシュタインは、「失敗したことがない人は、新しいことに挑戦したことがない人だ」と言っています。何事も初めてやって上手くいくわけはありません。しかし、失敗は成長のチャンスです。なぜなら、なぜ上手くいかなかったかを考える「振り返り」の機会を得ることができるからです。失敗の原因を振り返り、新しい方法でもう一度挑戦してみる。そのサイクルを続けて最後に成功すれば、一度も失敗しなかった人にはない、たくさんの成長の機会を得ることになるからです。
井原高校をそうした場とするために、皆さんにお願いがあります。みんなが安心して失敗できるように、本校を、皆さんの教室を、安心で安全な場にするように心がけてほしいということです。もう少し具体的にいうと、クラスメイトの失敗を笑わないでほしい、失敗した人を傷つけないでほしい、クラスメイトの挑戦をみんなで支えてほしい、ということです。
第二の目標は、「新しい井原高校を皆さんとともに作っていく」ということです。
長かった新型コロナウイルス感染症対策にもようやく終わりが見えてきたような気がします。5月8日からは、新型コロナウイルス感染症を季節性インフルエンザ等と同じ扱いにすることが控えていますが、例えば、文化祭や体育祭など様々な学校行事では、感染対策のためにできなかったことがたくさんありました。小学6年生から様々な学校行事を経験していない人もいると思います。コロナ禍により途切れてしまったこうした学校文化を再び作っていかなければいけないということです。また、本校では、南北両校地の統合が完了しましたが、一つの学校としての文化を創っていくことが求められます。以前の学校行事などを単に復活させたり、2つの学校の文化を足して2で割ったりするのではなく、地域から期待される本校の役割を踏まえながら、皆さんが生き生きと学校生活を送る姿を理想とする取組が必要だと考えています。
この二つの目標については、先生方にも伝えていますし、明日の入学式で新入生にも伝えます。今年度の終わりに、皆さん自身が、新しいことにチャレンジしたか、新しい井原高校作りに参加できたか、その評価を聞きたいと思います。
なお、皆さんに対しては、今年度からマスクの着用を求めないことを基本としていますが、一つお願いがあります。それは、家庭に高齢者や基礎疾患を持った家族がいて、学校で感染するわけにはいかないというクラスメイトもいるということに配慮して日々の生活を送ってほしいということです。すべてが元通りになるわけでは、まだ、ないのです。先生方も教室での授業の際は当分マスクを着用するようにしています。
最後に、着任して間もない時期に大変うれしいニュースに接することができました。それは、井原市が独自に制定したSDGsのロゴマークに、本校普通科2年の岡田真依さんがデザインしたものが選ばれたというニュースです。岡田さんによれば「たくさんの人に愛される井原市をつくりたい」という思いをベースに、チャレンジしてみたということですが、こうした皆さん一人一人のチャレンジが、井原高校を素晴らしい学校にしていくものと思います。
今年、11月には本校創立百二十周年記念式典が行われます。歴史と伝統を誇るだけでなく、未来に向かって大きく成長する本校生徒の姿を多くの人に見てもらえる式典にしたいと思います。
この1年が皆さんにとって充実した1年になることを期待して、式辞といたします。
令和5年4月10日 岡山県立井原高等学校 校長 上野修嗣